落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 アミュレットのモチーフを、種族ごとに分けるのはとてもいい案だ。みんな各々が獣人であることに誇りを持っているみたいだし、それを象徴するモチーフにすれば誰の持ち物かすぐにわかる。こちらとしても、モチーフで頭を悩まさなくても済む。うん、まさに、いいことだらけね。
「それで、お値段はいくら?」
「……え?」
「お値段。アミュレットの代金だけど」
「あっ! ああ、代金、ええと、そうですねー……」
 問いかけるマインから顔を背け、私は目を泳がせる。
 なぜなら……それは、全く、ノープランだったからだ! 
 警備隊にお試しで作ってみて、評判がよかったら考えようと思っていた。まさか、効果が出過ぎてすぐに注文が入るなんて、誰が想像するだろう!
 しかも、私、ドーランの通貨も貨幣価値も知らない。ああ、どうしよう。
「十フィン、で、どうですか?」
 静かに言い放ったのはリンレンだ。彼はにっこり微笑み「任せて」と目で訴える。
 わかった、任せたわ! もう、全部まるっとお任せよっ!
「十フィンね、ええ、いいわ! じゃあ、出来上がったら連絡をもらえるかしら? お金を払いに来るから」
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