落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 それから、農場へ糸をもらいにいく準備をしていると、にわかに外が騒がしくなった。アミュレット注文のお客さんが来たのかな、と思い、急いで扉を開けると……そこには腰を抜かすほどの光景があった。
 来ても五、六人くらいだと推測していたのに、家の外には、ざっと見ても三十人以上はいたのである。
 ファルたち警備隊の宣伝効果はたいしたものね、なんて、感心している場合ではない。これは三人で分担して仕事をしないと日が暮れてしまう。
 そんなわけで、お客さんを順番に並ばせる役目はホミ。受付をして、詳しく話を聞くのが私。その横で情報を台帳に記入するのがリンレン、と作業分担をした。
 それぞれ家庭の事情や悩みがあると思うので、ひとりずつお店の中で話を聞く。しかし、いろいろ話を聞いていると、どうしても長くなってしまい、待っている人が退屈し始めた。それを見たホミは、気を利かしてお茶を用意してくれた。もちろん薬草茶で、イライラや心配事を解消するカモミールを配合したお茶のようだ。
 この作業分担により、スムーズに受付注文は完了し、夕方になる頃には、全てのお客を捌くことが出来た。
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