信じていた···疑う事も··なかった
いったい···何を

 ❝ ガシャン ❞

沙良が出ていった

    音が響きわたった。

俺は、一体なにを·····

夫婦である沙良を大事にしないで
他人である北山さんが
頑張っているからと
どうして励ましや癒やしをしてあげないと
行けなかったのか?

沙良が言うように

北山さんに気持ちがあったからなの
だろうか?
いや、そんな事は·····
だが、一緒に食事して
話している間
俺の頭の中には
沙良は、いなかった。

俺は····なんて····やつなんだ。

北山さんが喜ぶからと
検索して予約して
遠方は、電車や高速バスを使い
沙良と一緒に使わないと
いけないお金を·····

考えている間
携帯が動く
沙良であるはずがないのに
手に取ると 
北山さんで····
携帯をソファーに投げる

あんなに北山さんの為に
やっていたのに
本当に俺はどうしょうもない
男だ。

その日も
北山さんから
何度も連絡があった。

気づいたら外が明るくてなっていた。

沙良が出て行ってから
同じ場所
同じ状態のまま
座っていたらしい

おなか····も··空いてない·········

立ち上がり
沙良が寝ていた部屋を開けて見る
布団は畳まれて
綺麗に片付けられていた。

寝室のクローゼットを開けると
俺と関わる服は置かれていた。

悲しみで頭が下がる

ベッドに腰掛けると
否が応でも見える
ハンドクリーム

これを渡す時
沙良は、どんな顔をしていた?
あの日は、県外で人気と言われている
レストランへと出掛けた。

少し早い時間に
絵美ちゃんと待ち合わせをして
あちこちを見ながら
予約時間まで過ごした。

何を見てもニコニコしている
絵美ちゃんに顔が綻ぶ
すると、一軒のお店に
あっと、言って入って行く
絵美ちゃん。

見ると女性のお店みたいだったから
入らずに外にいると
ラッピングされた袋を
持って出てきた絵美ちゃんが
「これ、ハンドクリームなんです。
凄くつるつるになるので
奥様へ、どうぞ。」
と、妻の事まで気にかけて
くれる彼女の優しさが
嬉しかった。

それから、レストランで食事をして
また、ぶらぶらしてから
帰宅した。

俺達は、手を握ったり
腕を組んだり
もちろん、キスやその先もない。

だから、沙良に対して
何も罪悪感もなかった。

なら、どうして
絵美ちゃんとの食事を隠した?
ハンドクリームも
彼女が買ってくれたんだよ
と、言わなかった?

確かに俺は
沙良とすれ違いの生活に寂しさが
あった。

だから、絵美ちゃんの
ニコニコしている笑顔に
癒やされていたんだ。
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