信じていた···疑う事も··なかった
何しに?
受付から内線がかかった。
何事かと思うと
「受付に北山さんと言う女性の方が
お見えになっています。」
と、言われて
北山さん?知らないなぁ
と、思い
「高田さんは、いませんか?」
と、茉優の事を訊ねると
「高田さんは、休憩に入られました。」
と、言われて
染谷係長に受付まで
行って来ますと伝えて下へ降りる。
受付の娘が
あちらですと
ん?と思いながら
「高木です。」
と、声をかけると
下を向いていた顔が上がり
「北山ともうします。
北山 絵美です。」
と、言われて
えみ?で、ああ、早都の?
と、思い怪訝な顔になったと思う。
「その北山さんが
私に何の用でしょう?」
と、声のトーンか下がる私に
「ええっと。」
と、言いながら言葉を探しているようだ。
「あの?私は仕事中なんですが
私用の用事ですか?
あなたも仕事中ではないのですか?
税務署の高木さんに
連絡しましょうか?」
と、言うと
今度は、ムッとした顔をして
「あっ、あなたが何か
高木係長に言ったから
高木係長があんな態度を
とったのでしょ。
私は勉強を教えてもらっているだけ
なのに変な誤解をするから。
ただ、その後、食事を
ごちそうになっていましたが。」
勝手な事をペラペラしゃべる
この人に呆れていると
「沙良、大丈夫なの?」
と、茉優が戻って来たようで
声をかけてくれた。
私は、首を横に振りながら
携帯を耳にあて
「沙良?」
と、言う男に
「あなたの北山さんが
私の会社にきているのだけど
あなたが、行けと言ったの?
引き取って。」
と、言うと何か言っていた
早都の電話を切り
「ここで騒がれても
迷惑になりますから
どうぞ、こちらに。」
と、隅のソファーへと案内して
受付の人達に
「すみません。
ご迷惑をおかけしまして。」
と、言うと、
茉優以外は、
「全然。」
「大丈夫です。」
「大丈夫ですか?警備呼びますか?」
と、言ってくれていたから
「大丈夫。引き取りをお願いしたから。」
と、言って
茉優には、肩を上げて見せた。
茉優は、呆れているようだ。
むろん、私でなく北山さんに。
私の会社なんだから
皆、私を擁護するに決まっている
小さくなってソファーに歩く
北山さん。
もう、二人に会いたくもないのに。
ため息がもれる。