信じていた···疑う事も··なかった
そんなある日②

「大山、ここだ。」
と、染谷に言われて
立ち尽くす沙良。

誰も、何も、言わない
シーンとしている。

ただ、沙良の瞳は
あちこちに動いている。

どのくらいたったか
分からないが

「中に入ってみるか?」
と、言われて

なんと答えたかも
わからない。

染谷さんは、鍵を開けて
中に入った。
灯りが点され
沙良は、ここでも立ち尽くす。

ゆっくり、ゆっくり、
歩く沙良
一つ、一つを見ている。

まるで何があるのか
わかるように。

何時間かかったのか
かからなかったのか
分からないが
一階に下りてくると
また、立ち尽くす沙良。

すると玄関から
結城課長
茉優、凛、大雅さん
美佳さんが入ってきた。

沙良は、ぼぉっと
みんなを見ているが
涙が溢れていた。

茉優と凛から
デザイン帳を見せられて
沙良は、涙が止まらなかった。

その間に
ゆっくり染谷から説明があった。

「沙良ちゃん。
みんな君が心配なんだよ。
大好き沙良ちゃんだから。
だから、こんな無茶をした。
まあ、発起人は俺だけど。
俺だって沙良ちゃんを
ずっと見てきて
誰よりも幸せになって欲しいと
凛や茉優ちゃんと一緒に。
君を傷つけただけなのかな?
君の中には、もう彼はいないのかな?
こんな勝手な事されて
怒っているのかな?」
と、言う大雅に
沙良は、首を振っていた。

すると凛が携帯をだして
スピーカーにした。
「「沙良。さら。
怖がってばかりでなく
幸せになりなさい。
私達の大切な娘、沙良。」」
と、両親の声

沙良は、みんなの優しさに
言葉もなく
涙が溢れる。
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