信じていた···疑う事も··なかった
踏み出す勇気
日曜日の夜に
沙良は、染谷や美佳
結城課長や茉優、凛
大雅さんにお礼の連絡をした。
本当に嬉しかった事も
みんなはそれが
沙良の答えだとわかり
それ以上は
差し支える事にした。
月曜日から沙良は
通常勤務に戻ったが
どことなく
今までの沙良とは
違っていた。
沙良は、鎌倉が好きで
良くブラブラと
来ていたが
家ができてからは
毎週の様に鎌倉にいた。
染谷や美佳の元に
寄ったり
ぶらっと来てから
帰ったり。
そんな日々が続いた。
誰の目にも
沙良の気持ちは
わかっていたが
沙良が決めないと駄目
沙良が、そう願わないと駄目
そんな沙良を
ただ、優しげに見ている早都。
早都にとっては
本当に奇跡なんだ。
沙良が、自分の住む鎌倉に
いるだけでも。
もう、一生関わる事が
出来ない筈の沙良だったから。
早都は、
福井県税務署に
異動の希望を出して
鎌倉税務署へと異動してきた。
問題があって異動になった
早都だが。
寒く慣れない三陸の地で
真面目に必死に働いた。
女性にも男性にも
距離を置き
自分の領域には決して
他人を入れることはなかった。
回りもそんな人間として
高木と接触していたから
違和感はなかったようだ。
福井県に来て五年目に
高木は異動の希望を出した。
鎌倉の小さな税務署で良いと。
家を建てる計画もお金も
準備出来ていたから。
ここが最後の異動地でありたい
と思っていた。
無論、沙良が、鎌倉を愛している
のを早都も知っていたから。