光舞う、言ノ葉たちよ
「……」


言うことがなくなって、ぎゅっと唇を噛み締めた。

ひかるは大切な人だ。
離れるのは嫌だけど、でも死にたい。


何で自分はこんなに弱い人間なんだろう。

どこで間違えたのかな、どうしてこんな風にしか生きれないのかな。


終電もないはずなのに、そとからキャッキャと騒ぐ男女の声が聞こえてくる。

あの人達、絶対悩みなんてない。

わたしみたいに、死にたいなんて考えたことすらないんだ。

小さい頃から愛情ばかり貰って育って、家でも笑顔が絶えなかったのだろう。



わたしとは違う、何もかもが違う。

家に帰れば両親が喧嘩していて、イヤホンを耳に押し込んで耳栓代わりにしたことも、
怒りのままに破壊された皿を見て、叩かれて壁に手をついた母を見て警察に通報しようとしたことも、

あの人達は、経験したことがないんだろう。



「じゃあ、俺と一緒に死んでみようか」



はっと、我に返った。


「…ひかるも、一緒?」

「うん。独りで逝かせるの嫌だもん」
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