花タクシー💖伝説のフーゾクは実在した…⁉
コースプラン、決定す



「奧山さん、どうぞー」


「ああ、ありがと」


オレは栓を抜いた缶ビールをキヨエから受け取った。


”ここで、皆にビールは?とかってなったらオプションだろうな。どうすっかな…”


と思ったところで、ずっと半身後ろ向きのりりかが目をきらっとさせて、意味あり気な口調で切り出してきたわ。


「奧山さん…、この花タクシーは夏目新町イースト街が発祥の地になって、そのうち全国に普及しますよ。そのさきがけなんで、イースト街の各店では、いろいろ趣向を試みてるんです」


「ほう…。それで、リップゲートさんはどんなお楽しみを?」


「ズバリ言っちゃいますよ、奧山さんには」


「言っちゃって下さい」


「ええとですね、おさわりですね、相互の…」


オレはさすがに驚いた。
あまりに、そのものズバリだったので…。
しかも、”相互”と言うのがやけにナマ感で耳に残ってね。


***


「いくらなんですか、そのオプションは?」


「触り放題で1万円です」


ここでも触り放題というのがもう、ストレートすぎて、やけにおかしかった。


「ちなみに口説き放題コースですと3万円ですが、どうですか?その際、遠回りで30分タイム延長します。無論、乗車料金の加算はありません」


「りりかさん、あなたは端的でいいですね。じゃあ、オレが口説いてOKとなったら、この車の中でエッチもアリってことですね?」


「ええ。奧山さん、イースト街の同業各店は共同戦線を張ってるんですよ。…女の子の送りで店外営業の収益も得ようって。夜の商売もなかなか難しい時期に来てますし…。であれば、いろいろとやっていかないと…。必死なんです、水商売で生きる私たちも」


「試行錯誤のこの時期だけでかもしれませんよ、こんな移動ピンサロ」


家が近いとうキヨエも、若いがなかなかなタマのようだった(苦笑)。


***


「わかりました。オレも今日は深夜残業でパーッとウサを晴らしたい気分だったんでね。りりかさん、口説き放題で3万出すよ!」


「ホントですか‼ありがとうございます。じゃあ、カンパイしましょう!」


そういうが早いか、キヨエが缶ビールを女性二人に渡していたよ(笑)。


「念のため、確認させてもらいます。オレが家の前で車を降りるとき、4万6千円を払えばそれ以上は絶対請求しないね?」


「はい…。3人のビールは”込み”ですから」


ここではりりかがキッパリだった。


”さあ、そうとなったら、どう行くかな…”


オレは全体の時間配分と3人の”振り分け”をざっくりと頭で思案した。



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