死亡フラグと危険な婚約者の殺し方〜転生したら殺される運命の悪役令嬢だったので殺される前に殺します〜
エーリック・シェーンヘル。


若くしてシェーンヘル伯爵家当主の私の父。


私はこの父が嫌いだった。


私の母だけを愛し、私には優しい笑みの一つもくれない。


母が生きていた幼い頃は頑張ってお父様に愛してもらえるようにたくさん愛嬌を振りまいていたけど、一向に変わらないお父様の態度に私はすぐに諦めてしまった。


昔も今も父親らしいことをしてもらった記憶などない。


そのくせ令嬢としての作法だの勉強しろだの顔を合わせる度に嫌味のオンパレード。


それもこれも愛せない娘をせめて自分の地位向上のための道具として働いてもらうための小言に過ぎない。


しかもこの父、原作では処刑される娘を見殺しにしたのだ。


処刑前にヴィルフリートはエーリックに処刑の許可を取りに行くのだがエーリックは「構わん。俺には娘などいない」とあっさり切り捨てた。


原作の流れとしては当たり前なのかもしれないけど。



ただこの最低なエーリックも顔はかっこよかったので読者の中でもファンはいたのだ。


冷めた顔がクールで素敵とか妻を一途に愛し続けていていいとか、そんなの当事者じゃないから言えることなのだと今になれば思う。

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