死亡フラグと危険な婚約者の殺し方〜転生したら殺される運命の悪役令嬢だったので殺される前に殺します〜
ナーサリーは数年前から私に仕える若い世話係だ。


ナーサリーの前にいたおばさん侍女と違って私の言うことはなんでも聞いてくれる。


そんなナーサリーの目は怯えに染っていた。


それもそのはず。


前世の記憶を取り戻す前の私は超超超わがままだったのだ。


幼少期に母を亡くした私は悲しみに明け暮れていた。


父は元々私に興味がなかったみたいだけど、母が他界してからはより一層家に寄り付かなくなった。


そんな私を不憫に思った使用人達が私を甘やかして育てた結果、私はわがまま娘に成長したのだ。


気に入らないことがあればすぐに周りに八つ当たりした。


美味しくなければ料理を放り投げ、たまに帰ってくる父に嫌味を言われれば部屋で大暴れし、嫌いな使用人がいれば出ていくまでとことんいじめた。


我ながら本当に酷いわね。


そりゃ本の中で悪役令嬢にもなるわ。


でもそんな私でも女の子だったようで、十二歳のときにたまたま父に国王と会いに来ていた第二王子ヴィルフリートに一目惚れ。


確かに見た目はすっごくかっこいいのよ。


さらさらの黒髪に輝くような金色の瞳にクールな表情、そして主人公にだけ見せる優しげな微笑み。


前世の私のタイプど真ん中!


そりゃリーゼロットも好きになるってもんですよ。

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