私たちの笑顔
「おぅ…こっち…」


すでに待ち合わせのカフェには棚橋がいた。

あの頃とはずいぶん変わっている。

ホストみたいなちゃらちゃらしたスーツ着ていて…かつて付き合っていたホストの武にそれとなく似ている…


「久しぶりだな、由美…」


何も喋れない…

声が出ない…


「由美にどうしても話があるんだ」


棚橋の顔は昔と比べてやつれていた。

こころなしか、何かに落ち込んでいるようにも見える。


「あの時は本当に悪かった。赤ちゃんにも申し訳ないことをしたと思ってる」

謝られたところで私の心の傷が癒されるわけもなく…
< 83 / 257 >

この作品をシェア

pagetop