私たちの笑顔
「俺…あれから知り合った女の子と付き合ってたんだ。最近その子と結婚してさ…妊娠してるんだ、今…」


妊娠…してる…

妊娠してると聞かされた時、棚橋は何を思ったのだろうか…?

ほんの一瞬でも…自分の過ちを悔やんだ?

命の大切さを実感した…?


「でも…俺は子供を抱けないんだ…」


どういう意味かわからず、アキと顔を見合わせた。


そこから棚橋が一気に話した。


「俺…肺ガンなんだ…悪性の。三ヶ月前に余命一ヶ月って言われてさ…でも二ヶ月も長く生きちまった…毎日毎日いつ死ぬだろうって怯えながら生きてる。最近は胸が痛い日が続いててな…もう…死ぬかもな…。なぁ由美…今さらこんなこと頼むなんてどうかしてるって思ってる。でも…どうしても聞いてほしい。最期に…自分の子供と眠りたいんだ…」
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