君にたくさんのありがとうを



またある時聞いてしまったんだ。


やっぱり一条くんからの告白は、罰ゲームだった。



「湊からの告白断るなんていい度胸してるね」



そんなことをすれ違い際に言われたこともあった。


事実とは異なる噂を流されたのは、その腹いせだった。


あの一条くんが振られたなんてことはあってはならないとか……


本当にしょうもない理由だった。


そのせいで私は友達を無くしたっていうのに。


ずっと一条くんのグループのみんなは、私を見て笑っていた。


違うとも言えず、言えないまま噂は大きくなった。


あれからもう半年。


もう噂をする人は居ないけれど、私と関わろうとする人もいない。



“友達を裏切った悪いヤツ”



それが私に貼られたレッテル。


運が良いのか悪いのか、仲の良かった英里ちゃんと未奈ちゃんとは、また同じクラスになった。


本当なら今も仲良く3人で一緒に昼ごはんを食べていたかもしれないのに。


そんなことを思いながら、今日も1人で食べたお弁当の蓋をそっと閉じた。





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