君にたくさんのありがとうを



「詩織、ご飯よ」



気がついたのはお母さんが夕飯ができたと呼びに来てくれた時だった。



「はーい、今行く」



起き上がってまだ制服を着たまだったことを思い出した。


どうしよう……ちょっとシワがついてしまったかも。


念入りに伸ばしてハンガーに掛けた。



「テスト今日までだったのよね?お疲れ様」


「うん、ありがとう」


「出来具合はどんな感じ?」


「うーん、まあまあかな」



やっぱり親というのは子どもの成績が気になるのだろうか。


テストの度にそんな質問をされて、本人よりもテストの点数を気にしている。


私は程々に頑張って、程々の学校に進学して、程々の会社に就職して生きていければいいと思っている。


そんな特別なことは望まない。


未来のことといえば、神代くんだ。


私の未来を予言されてからもう数週間が経つ。


今でもやっぱり嘘なんじゃないかと思うけれど、何度も神代くんの予知夢というものが当たっているからなんとも言えない。


交通事故に遭ったら、やっぱり死んでしまうのだろうか。


そうしたら、今までのことが全部水の泡だ。


まぁ……私が死んだところで悲しんでくれる人なんてひと握りだろうけれど。




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