君にたくさんのありがとうを
私を心配してくれる鎌田くんと一緒に病院を出た。
外へ出るともう日は落ちていて、星が光だしていた。
「颯馬と何かあったの?」
帰っている途中で、鎌田くんにそう問われた。
「いや、答えたくないならいいんだけど……ずっと辛そうな顔してるから」
鎌田くんにはバレバレだった。
そんなに顔に出てしまっていたのだろうか。
「私のせいなの」
目から涙が溢れ出る。
鎌田くんはそれでも静かに聞いてくれた。
「本当は私がトラックに轢かれそうになっていて、神代くんが助けてくれた」
そう、本当は私が轢かれるはずだった。
神代くんの予知夢でも私のはずだった。
「私のはずだったのに……神代くんが身代わりに……」
ぽつりぽつりと話す私の背中を優しく撫でてくれる。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
「桜庭さん。それは桜庭さんのせいじゃないよ」
鎌田くんに手をぎゅっと握りしめられる。
「颯馬は桜庭さんを守りたくて守ったんだと思う。だから、自分のことを責めないで欲しい」
鎌田くんの視線はとても真っ直ぐだった。