君にたくさんのありがとうを



「詩織を待ってたんだよ」


「え、私……?」



そう告げると、詩織は驚いたような顔をしていた。



「そう。朝早く来たけど詩織の姿なくてさ、まさかと思って待ってみたんだ」


「そうなの?」



その問いにこくんと頷いた。



「それからずっと待ってたの?」


「あぁ。朝も一緒に行きたいと思って」



詩織の質問攻めは止まらない。


そうかと思えば、待たせてしまったことへの罪悪感なんかを感じているような顔をしていた。



「別に俺が勝手にしてることだから気にすんなよ」



そんな詩織に心配しないよう、そう伝えた。



「うん、わかった」



詩織はわかってくれたようだったけれど、まだどこかで罪悪感を感じているようだった。


俺が好きでやってることなんだから気にしなくていいのに。


そんなことを言っても詩織は気にしてしまうのだろう。


とっても優しい性格の持ち主だから。


そんなところも、俺は好きだ。


困らせてしまうことはわかっているのに、伝えてしまいたくなる。


そんな気持ちをグッと押し殺した。




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