君にたくさんのありがとうを
「あのさ、前に言ってた私の予知夢って本当なの?」
「予知夢って事故のこと?」
これから起こるかもしれない詩織が巻き込まれてしまう交通事故。
そうなのかと確認すると、詩織はそうだと頷いた。
「本当だよ……でも!」
そう強く言葉を発して、詩織の前に立ちはだかった。
「大丈夫。俺が絶対に守るから」
そう、絶対に。
詩織のとこは、絶対に俺が守る。
何をしてでも守る。
詩織が死んでしまうかもしれない未来は、もう見たくはない。
「う、うん」
真剣な俺に圧倒されたのか、詩織は驚いていた。
「ありがとう、神代くん」
「お礼は守ってから言ってよ」
「うん、わかった」
まだどうなるかはわからない。
本当に俺が守り抜くことができるのだろうか。
絶対に守るという強い気持ちはあるけれど、本当にできるかどうかは半々だ。
だからこそ、詩織には生きてお礼を伝えて欲しい。
詩織が生きててさえいれば、それでいいのだから。