君にたくさんのありがとうを



学校に着いて、教室へ向かう。


ひとりぼっちの私が定着してから、周りの視線は気にならなくなった。


……というのも、噂を聞かなくなったからかもしれない。


それだけでちょっぴり気が楽だ。



「おはよう」



そう飛び交う教室内に私が挨拶する相手はいない。


無言のまま、窓側にある自分の席につく。


席に座る前、未奈ちゃんと話す英里ちゃんと目が合った。


英里ちゃんは気まずそうに目線をずらして、何事も無かったかのように話に戻っていた。


そんな私も何事もなかったかのようにカバンから教科書を出して引き出しにしまう。


今も英里ちゃんと未奈ちゃんと仲が良かったら、もっと学校生活は楽しかっただろうか?


別に学校には勉強をしに来ているわけだし、楽しくなくたっていい。


私はただ1日を淡々と過ごすだけ。



「おっはよ〜」



今度は陽気な声が聞こえる。


この声は神代くんの声だ。


私は神代くんも苦手。


……というより、みんなの人気者が苦手。


きっと一条くんのように人の気持ちなんて軽くしか考えていなさそうだから。




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