君にたくさんのありがとうを
「颯馬!今日カラオケ行こーぜ!」
圭佑からのカラオケのお誘いだ。
そういやここ最近は詩織と帰っていたから、圭佑たちと学校帰りにカラオケに行くことはしていなかったから、久しぶりだ。
「いや、俺……」
しかし、俺はちょうど今詩織に一緒に帰ろうと告げてしまったところ。
誘っておいて断ることはできない。
「せっかくだから桜庭さんも一緒にどう?」
すると、圭佑は詩織にも声をかけた。
詩織が帰り道にカラオケに寄るなんて想像がつかない。
今までもそうだけれど、学校帰りはいつもまっすぐ家に帰っているから。
「私はちょっと……」
案の定、詩織はカラオケのお誘いを断った。
もしかしたらカラオケ自体が苦手なのかもしれない。
カラオケは楽しいと俺は思うけれど、そう思うかどうかは人それぞれだ。
歌うことが苦手な人は、カラオケだって嫌なことかもしれない。