君にたくさんのありがとうを



「なら俺も」


「いや、神代くんは行きなよ。私は大丈夫だから」



それなら俺も行くのをやめようと、断ろうとしたけれど、それは詩織に止められた。



「本当に大丈夫?」



確かに久しぶりのお誘いで、カラオケに行きたいと心の中ではそう思った。


でも、詩織を置いていくのも心配だった。


何よりも俺は詩織の傍にいたかったから。



「大丈夫大丈夫。そんなに心配しないで」



心配する俺をよそに、詩織は軽くそう言った。



「本当、心配性だな、颯馬は」



詩織に続くように圭佑にもそんなことを言われた。


確かに俺は過保護かもしれない。


でも、それくらい心配していて詩織を守りたいという気持ちが強いのを伝えたかった。



「じゃあまたね、神代くん」



それなのに、詩織は俺を置いて行ってしまった。


本当に大丈夫だろうか。


心配で仕方ない。



「ほら、桜庭さんからもお許し出たことだし、カラオケ行こうぜ」


「……あぁ」



圭佑に肩を組まれて、岡田たちの元へと戻る。



「行こう、颯馬!みんなでカラオケ行くの久しぶりすぎて楽しみ」



岡田にも背中を叩かれ、詩織も行ってしまった俺は、結局カラオケに行くことにした。






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