君にたくさんのありがとうを
「……っ」
そちらの方を向いていたのが悪かった。
神代くんと目が合ってしまった。
英里ちゃんといい、神代くんといい……今日はよく目が合う。
「……?」
すぐ目をそらそうとしたけれど、神代くんが何か言いたげな顔をしていて、一瞬目が離せなくなった。
一体なんだろう。
まぁ、関わってもいいことなんてないし。
深くため息をついて、視線を窓の外へと移した。
もうすぐチャイムがなる。
校門を走ってくぐる人の姿が見えた。
遅刻ギリギリ。
もっと余裕もって家を出ればいいのに。
私には関係の無いことだけれど。
走っていた人影が生徒玄関へと消えた頃、チャイムが鳴り響いた。
ふぁああと大きなあくびが出る。
なんでこんなに授業ってつまらないんだろう。
歴史好きな先生は、教科書に載っていない話を盛り込んでくる。
私は歴史を好きでも嫌いでもないけれど、そもそも興味がわかなくて、話を聞く気にもなれなかった。
ペンをクルクルと回しているとふと視線が気になった。