君にたくさんのありがとうを
そこで光が消えた。
また真っ暗な世界へと戻ってくる。
さっきのは夢だっだのか、現実だったのか。
予知夢だとしたらわかるはずなのに、わからない。
やけにリアルな世界だった。
あれが本当なら、俺は今、病院で入院している。
点滴が繋がれ、俺は意識がない状態。
そんな俺に何度も詩織は謝り続けていた。
早く目を覚ましたい。
そして、詩織を抱きしめてやりたい。
「俺は大丈夫だから」って伝えたい。
なんで目を覚ませないんだ……
するとまた辺りが明るくなった。
そこはさっきとまた同じ真っ白な病室で、今度は圭佑たちがいた。
きっとお見舞いに来てくれたのだろう。
圭佑が持っていた袋には大量のお菓子が入っていた。
「ふっ……」
思わずおかしくて笑ってしまう。
意識のない俺にお菓子を持ってきてくれても、食べることができないのに。
そんなぶっ飛んでいることがとても圭佑らしい。
今は食べられないけれど、ありがたくいただいておこう。