君にたくさんのありがとうを



そこで光が消えた。


また真っ暗な世界へと戻ってくる。


さっきのは夢だっだのか、現実だったのか。


予知夢だとしたらわかるはずなのに、わからない。


やけにリアルな世界だった。


あれが本当なら、俺は今、病院で入院している。


点滴が繋がれ、俺は意識がない状態。


そんな俺に何度も詩織は謝り続けていた。


早く目を覚ましたい。


そして、詩織を抱きしめてやりたい。


「俺は大丈夫だから」って伝えたい。



なんで目を覚ませないんだ……



するとまた辺りが明るくなった。


そこはさっきとまた同じ真っ白な病室で、今度は圭佑たちがいた。


きっとお見舞いに来てくれたのだろう。


圭佑が持っていた袋には大量のお菓子が入っていた。



「ふっ……」



思わずおかしくて笑ってしまう。


意識のない俺にお菓子を持ってきてくれても、食べることができないのに。


そんなぶっ飛んでいることがとても圭佑らしい。


今は食べられないけれど、ありがたくいただいておこう。





< 141 / 205 >

この作品をシェア

pagetop