君にたくさんのありがとうを



そしてまた光が消えた。


暗闇の中でのひとりぼっちは、さらに寂しさを倍増させる。


いつものように近くにいる圭佑たちとも話すことができない。


毎日登下校をしていた詩織と会うこともできない。


詩織を守ることができてホッとしているけれど、このままではいたくないと思った。


早くこの世界を変えたい。


でも、変え方がわからない。



「俺はどうしてここにいる?どうしたら出られる?」



病室に寝ているだけの俺を、ただただ見ているだけだなんて。


早くいつものように話したい。


友達に、詩織に、会いたい。



「なぁ、誰か教えてくれよ」



予知夢なんてそんな能力はいらないから、早く俺を元の世界へと戻して欲しい。


ただただ、そう願った。


そう願って、その日はそのまま意識を飛ばしてしまった。




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