君にたくさんのありがとうを
そんな自分の力のなさに肩を落としていると、詩織の口から予想外の言葉が飛び出してきた。
「神代くんが好き」
「えっ?」
詩織は……俺のことが好き?
そんな……これ、夢だよな。
俺がまとわりついていただけで、迷惑そうにしていた詩織がそんなこと思うわけないよな。
悪い夢だ。
なんでこんな夢を……
「神代くんっ!?」
「……っ」
詩織は俺を見て驚いていた。
「詩織?」
「神代くんっ、神代くんっ!!わかる?私、詩織」
「あぁ、わかる。俺の大切な詩織」
「良かったっ……神代くんが目を覚ましてくれて」
詩織は、俺の前で大粒の涙をこぼして泣いた。
「俺の言葉が聞こえるのか?」
「もちろんっ!良かった、本当に良かった……」
子どものように泣きじゃくる詩織。
そんな詩織をやっと俺は抱きしめることができた。