君にたくさんのありがとうを
「嬉しかったよ、俺は」
「本当に?」
「本当に。俺も詩織のことが好きだから」
やっと伝えられた。
俺のずっと秘めてきた気持ちを。
「ほ、本当に?」
「本当、本当」
「信じられない……神代くんが私なんかを」
詩織は本当に信じられないという顔をしていた。
この気持ちに嘘なんかひとつもないのに。
「詩織だから好きなんだよ。詩織の笑顔を独り占めしたい。それくらい詩織のことが大好きだ」
自分でも照れくさいことを言ってしまっている自覚はある。
けれど、それ以上に今まで溜め込んできたことを伝えたかった。
「だから、俺と付き合ってくれる?」
こんな病室の中で告白するような人なんていないだろう。
しかも目覚めてすぐにだ。
それでも今すぐに伝えたかった。
「……っ」
これから答えを聞くはずだったのに。
俺の中で映像はここで途切れてしまった。