君にたくさんのありがとうを
目が覚めたのは、俺の知っている真っ暗な世界だった。
「……夢かよ」
今のことは全部夢なのか?
幸せで残酷な夢だった。
どこまでが現実で、どこからが夢なのか。
全て本当であって欲しかった。
俺の声がちゃんと詩織に届いて、俺の気持ちを伝えることができたのに……
真っ暗で見えない床を思い切り蹴った。
今こんな夢を見させないでくれよ。
早く夢から覚めさせてくれ。
早く詩織に会わせてくれ。
「詩織っ、詩織……」
俺の呼ぶ声は、詩織には届かない。
なんでだよ。
俺、そんなに悪いことしたのかよ。
詩織に会いたいだけなのになんで……
「……っ!」
するとまた白い光が俺の元へと差し込んできた。