君にたくさんのありがとうを
もしかしたら、もしかするかもしれない。
そう思ったのは陽子ちゃんも一緒だった。
「名前を呼ぼう!もしかしたら戻ってきてくれるかもしれない!」
陽子ちゃんがそう言った。
それに、私も大きく頷いた。
「神代くん!神代くんっ!!」
「颯馬!こっち!颯馬っ!!」
何度も何度も名前を呼んだ。
どこかでさまよい続けている神代くんの道標になるように。
「神代くん、こっちだよ!目を覚まして!」
「颯馬!私たちはここだよ!」
名前を呼ぶ度に、指がピクリと動く。
「きっともう少し」
陽子ちゃんと顔を見合せて、お互い頷く。
もう少しできっと神代くんは、この世界に戻ってきてくれる。
そう信じて名前を呼び続けた。
その時、瞼がピクリと動いた。
「神代くんっ!!」