君にたくさんのありがとうを



神代くんは起きたばかりで体力が戻っていないからか、車椅子に乗って戻ってきた。


その後ろには先生もいて、神代くんの家族は先生から話があると呼ばれて行った。



「神代くん……」


「検査、どうだった?」



なかなか話せない私の代わりに、また陽子ちゃんが聞いてくれた。



「うん、どこも異常ないって」



神代くんは、ニッと笑って見せた。


いつもの神代くんだ……


無事で良かった。


また涙が溢れ出してくる。



「もう、詩織ってば泣き虫なんだから」


「心配してくれてありがとう、詩織。岡田もね」


「ついでみたいな言い方酷くない?」


「本当に思ってるから」



そんな陽子ちゃんと神代くんのやり取りを聞いて、思わず笑ってしまった。



「詩織、今笑うところじゃない」


「うん、ごめんなさい」



でもいつも通りの神代くんが戻ってきてくれたみたいで嬉しかったんだ。





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