君にたくさんのありがとうを
「詩織っ!」
「へっ」
陽子ちゃんが出て行ってからすぐに神代くんに抱きしめられた。
「良かった。詩織が無事で、本当に良かった」
神代くんは安堵の表情で、私をギューッと抱きしめた。
「本当に心配したっ……」
ツーっと涙が頬を伝う。
ずっと心配だった。
「私を守ったせいで神代くんが轢かれちゃって……頭から血を流していてっ……怖かったっ」
「うん、ごめん」
そう、ずっと怖かった。
神代くんを失ってしまうんじゃないかって怖かった。
もう神代くんに会えなくなってしまうんじゃないかって怖くなった。
「詩織が交通事故に遭う夢を見てからずっと守りたいって思ってた」
神代くんは私を抱きしめたまま、話し始める。
顔は見れないけれど、声はとても優しかった。