君にたくさんのありがとうを
「でも、その関係が壊れちゃって……」
「それにあの噂が関係してるの?」
「そう」
あの噂が流れるまでは平和だった。
何も問題なんてなかったはずだった。
「その当時ね、英里ちゃんには好きな人がいたの」
「うん」
ゆっくりと話す私に、神代くんは優しく相槌を打ってくれた。
「私と未奈ちゃんはその恋を応援してたんだけど……ある日ね、私の下駄箱にメモが置いてあったんだ」
「うん」
「裏庭に来て欲しいって言われて、行くか迷ったんだけど、無視するのも怖くて行くことにした。そしたらまた告白されて────」
涙が溢れ出してきた。
私は何も悪いことなんてしていなかったはずなのに……
ただ、呼ばれたから行っただけなのに。
神代くんは、背中を優しくさすってくれた。
今思い出すだけでもあの日は辛い。
「ちゃんと断ったんだけど……次の日、学校に行ったら噂が広まってた」
噂が広まるのは、あっという間だった。
告白された次の日だったのに、クラスメイトはおろか学年中に広まっていた。