君にたくさんのありがとうを



「話してみればいいじゃん」


「話すって……」


「俺、わかったんだよ」


「わかったって?」


「俺は予知夢を見られるようになってから未来は変えられないと思ってた」



予知夢は絶対に起こること。


そう思っていた。



「でも変えられたんだ。ほら、今回みたいに」



神代くんの見た未来は確かに変わっていた。


私が死ぬはずだった未来はなくなった。


こうして私は今、生きている。



「変わるか変えられるかじゃなくて、変えようとするかどうかなんだよ」



その言葉は深く胸に刺さった。



「俺だって変えるのは無理かもしれないと思った。決まっていた未来を、詩織を、守れるかなんて本当はわかんなくて自信がなかった……ずっと怖かった」



あんなに自信満々に“守る”なんて言っていたのに。


神代くんにも怖いという気持ちがあったことに驚いた。





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