君にたくさんのありがとうを
8:君にたくさんのありがとうを
神代くんが目を覚ましてから、3日後。
予定通り、神代くんは退院することになった。
「神代くん、退院おめでとう」
「おめでとう、颯馬」
退院日はちょうど土曜日で、鎌田くんや陽子ちゃんもやって来た。
病院の入口で待っていると、両親と一緒に神代くんは出てきた。
「元気そうでよかったよ」
「ありがとな、圭佑。詩織と岡田もわざわざ来てくれてありがとう」
体を強く打っているから、しばらくは安静にということだったけれど、通常通り普段の生活を送っていいと先生からお許しが出たらしい。
「ってか、お前ら2人いつ仲良くなったんだよ」
鎌田くんから疑問を投げかけられる。
2人というのは視線を見るに私と陽子ちゃんのこと。
「颯馬の入院中にちょっとね。ねっ、詩織」
「うん」
「良かったな、詩織」
ニコリと笑う神代くんに、私は大きく首を縦に振って頷いた。