君にたくさんのありがとうを
どうやら神代くんは交通事故で頭を強く打ったせいか、予知夢を見られなくなってしまったらしい。
「嫌な思い出もあったけど、便利だったのになー」
名残惜しそうな反応をする神代くん。
「テスト範囲とか?」
「そうそう。予め出るところがわかるってすごくね?」
「それはある意味カンニングだけどね」
「テスト中見てるわけじゃないからセーフ」
そっか。
もう予知夢は見られなくなってしまったんだ。
そのおかげで私は神代くんに助けられた。
私は神代くんの不思議な力に感謝しなければいけない。
神代くんは良くないことにも力を使っていたみたいだけど……
でも、夢って勝手に見るものだし不正ではないか。
今となってはどちらでもいいのだけれど。
「いきなり無くなるって悲しくない?」
「そりゃやっぱりちょっとは寂しいかなぁ」
神代くんはうーんと考える。