君にたくさんのありがとうを
「ほら、詩織が困ってるだろ?やめろよ」
神代くんがそう言えば、周りは静かになる。
やっぱり神代くんは偉大な人だ。
「あっ、詩織ー!おっはよー!」
朝からハイテンションで私の名前を呼ぶのは、仲良くなったばかりの陽子ちゃんだ。
「おはよ、陽子ちゃん!」
陽子ちゃんにもたくさん感謝しなければいけない。
陽子ちゃんだって神代くんのことが好きだったのに、私の応援をしてくれて、こうして友達になってくれて。
「昨日のテレビ見た?」
「陽子ちゃんの好きなグループ出てたんだっけ?」
「そうそう!めっちゃかっこよかったなぁ〜」
昨日はテレビで長時間歌番組をやっていた。
陽子ちゃんは韓国のグループが好きで、絶対に見ると意気込んでいたんだ。
テレビ越しにだけれど拝むことができたみたいで、陽子ちゃんはご満悦の様子。
「おっはよー」
鎌田くんも登校してきたらしい。
鎌田くんは思いっきり神代くんの肩に寄りかかったみたいで、「おぉ」と神代くんは驚いていた。