君にたくさんのありがとうを
「岡田と桜庭さんもおはよ」
「おはよー」
「おはよう、鎌田くん」
私たちも挨拶を交わす。
「はぁー、疲れた」
「え、まだ登校してきたばっかじゃん」
「それだけで疲れたの。これから勉強とか地獄ー」
「それはわかるー」
鎌田くんと陽子ちゃんの会話に、思わず私も頷いた。
今まで友達もいなくてひとりぼっちだった私は、勉強しかやることがなくてやっていたけれど、やっぱり好きじゃないものは好きじゃない。
「桜庭さんもわかってくれるー?」
「うん、わかる」
「だよなー」
話に盛り上がっていると、斜め前から視線を感じた。
チラッとその方を見てみると、そこには英里ちゃんと未奈ちゃんがいた。
すぐに視線はそらされてしまったけれど、2人とも複雑そうな顔をしていた。
早く英里ちゃんと未奈ちゃんに話をしなければいけない。
これまでずっと怖くて避け続けてきた。
神代くんにも背中を押されたけれど、まだその勇気は出なかった。