君にたくさんのありがとうを



私の名前を呼んだのは、英里ちゃんだった。


振り返ると英里ちゃんと未奈ちゃんの2人が教室に残っていた。



「……っ」



こうして2人と会うことは今まで無かったのに。


放課後机を囲んで話している2人に懐かしさを感じた。


まだ1年生で2人と仲が良かった頃。


放課後はいつも用事もないのに学校に残って、机を囲んで3人で話していた。


なんで今になってそんなことを思い出すのだろう。


取りに来た体操着の入ったカバンを胸の前でギュッと抱きしめる。


気持ちが揺らいでいる。


今ここで話しをするべきか、このまま逃げ帰ってしまおうか。


逃げ帰る方に私の気持ちが揺らいだ時、神代くんの言葉を思い出した。



“変わるか変えられるかじゃなくて、変えようとするかどうかなんだよ”



そうだ。


神代くんは確かそう言っていた。


今の状況を変えるかどうか。


私はずっと変えたいと、変わりたいと思っていた。




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