君にたくさんのありがとうを
英里ちゃんと未奈ちゃんも言葉は発さずにこちらを静かに見ている。
まるで何かを言いたげなように。
教室の中には私と英里ちゃんと未奈ちゃんしかいない。
話すチャンスは今しかないと思った。
これを逃したら、もう話せる日は来ないと思った。
「英里ちゃん、未奈ちゃん!」
私は勇気を出して、2人の名前を呼んだ。
「なに……詩織」
まさか名前を呼ばれると思っていなかった2人は、とても驚いた顔をしていた。
こうして話すのはいつぶりだろうか……
「話が……したい」
2人は受け入れてくれるだろうか。
それが怖い。
英里ちゃんと未奈ちゃんにとっては、私は裏切り者だと思っているはず。
そんな奴と話したいと思うなんて……ないと思うから。
緊張して、固唾を飲んだ。
「いいよ」
「こっち座ったら?」
英里ちゃんと未奈ちゃんは受け入れてくれた。
まさかそう言ってもらえるなんて思っていなくて、すぐに反応できなかった。