君にたくさんのありがとうを



「英里ちゃんが好きだった一条くんとのこと」



一条くんの名前を出すと、英里ちゃんの眉毛がピクリと動いた。


まだ英里ちゃんは一条くんのことが好きなんだろうか。


あの日からずっと英里ちゃんと話していないから、今のことはわからない。



「あの日、下駄箱にメモが入ってて、一条くんから校舎裏に呼び出されたの」



あの日あったことを一つ一つ話す。


今でもあの時のことは、はっきりと覚えている。


一条くんからもらったメモの一語一句だって。



「英里ちゃんが当時一条くんのことが好きなことも知ってたから行くの止めようと思った。でもそのまま無視する方が怖くて、行くことにした」



人気者だった一条くんだったから。


これが知らない人だったら行かなかったかもしれない。



「そこで一条くんから告白されたの」


「一条くんからだったんだね」



口を挟んできたのは、未奈ちゃんだった。


噂では私が告白したことになっていたから。


真逆だったことにびっくりしているのだろう。


私はこくんと頷いた。





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