君にたくさんのありがとうを
そんなスクールカースト上位に君臨している人気者、神代 颯馬が教室にやって来た。
クラスの中心に居て、いつも注目の的。
笑顔を絶やさず、いつも明るくて、誰にでも優しい。
オマケに成績も良く、運動神経抜群という噂。
“完璧”という言葉がぴったりな人。
まるで空気のような存在である私とは、正反対の彼。
私は笑いもしなければ、授業で当てられる以外に声すらも発さない。
私なんかがいなくてもクラスの時間は流れていく。
“陰キャ”という言葉がぴったりな私にも、友達がいたことはある。
去年までは居たんだ。友達と呼べる人。
浅倉 英里と笹崎 未奈。
入学式の日に声をかけてくれて、毎日の昼休みにお弁当を一緒に囲んで食べるくらいには、仲が良かった。
英里ちゃんは、ボーイッシュなショートカットがとっても似合う子で、明るく、何事もはっきりと言う性格。
そして、ねじ曲がったことは嫌いな子だった。
未奈ちゃんは、ツインテールがトレードマーク
で、おっとりとして見えるけれど、とてもしっかり者。
この2人と一緒にいる生活は、確かに楽しかった。