君にたくさんのありがとうを



「守るため」


「え?」


「桜庭さんを守るために、これから一緒に帰って欲しい」


「は?」



ますます意味がわからない。


ただの夢だっていうのに、関わりのなかった私を守るために一緒に帰る?



「いや、いいよ。自分の身くらい自分で守れるし……」



人気者の神代くんと一緒になんて帰ったら、またなんて噂をされるかわからない。


やっと噂が薄れてきて、気持ちが軽くなったというのに。



「約束だから!桜庭さん、また明日!」



神代くんの乗る予定の電車が到着し、神代くんはそう言い残して行ってしまった。



約束って……



私、了解してないんだけれど。


そうしてまもなく私の乗る電車がやって来て、その電車に乗り込んだ。




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