君にたくさんのありがとうを
2:衝撃の告白
あれから1週間。
「桜庭さ……」
必死に神代くんから逃げている。
今のところ交通事故にも遭っておらず、至って平和な日常だ。
ただひとつのことを除いては。
神代くんは、相当しつこかった。
“約束だから!桜庭さん、また明日!”
その言葉通り、次の日から話しかけてきた。
「桜庭さん、おはよう」
無視するのはさすがに悪いかと思って「おはよう」とだけ返した。
そのまま立ち去って自分の席に行こうとしたのに、神代くんはついてくる。
「何か用?」
ちょっとぶっきらぼう過ぎただろうか。
でも、そんな心配はいらなかったようで……
「今日も一緒に帰れる?」
そう呑気なことを言い始めた。
「いや、ちょっと……」
そんなこと、教室のど真ん中で言わないで欲しい。
どんな勘違いをされるかわからない。
幸いにも話声で騒がしく、神代くんの声はみんなに届いていないようだった。