君にたくさんのありがとうを
そんなお誘いは毎日やって来て、その度に微妙な反応を返す私。
放課後は神代くんに捕まる前に帰っていた。
元々帰るのは早いほうだったけれど、さらに早くなってしまって、多分校内で1番早く帰っているんじゃないかと思う。
無事に今日も撒くことができていると思っていたそんなある日。
「見つけた、桜庭さん」
不意に腕を掴まれて、とうとう神代くんに捕まってしまった。
「一緒には……」
「一緒に帰ろう」
この人、話聞いているのだろうか。
何度も断っているし、なんなら「うん」と答えた日は一度もなかったはずだ。
神代くんはなんでそんなに私のことを守りたいのだろうか。
そもそも予知夢についてもまだ信じることができていない。
「1人でも大丈夫だから」
「俺が心配だからついてく」
その言葉通り、神代くんは私の一歩後ろをついてきていた。