君にたくさんのありがとうを



なんだか落ち着かない。


私は一緒に帰るなんて言っていないけれど、こんなにぴったり歩いていたら、はたから見たら一緒に帰っているのも同然だ。


しかもよりによって人気者の神代くんと。


明日になったらまた噂されるかもしれない。


現に、近くにいたクラスメイトがコソコソと話している姿を目撃した。


あーあ。


また明日から居心地の悪い日が続くんだろうな。


いいことをしている気分の神代くんには絶対にわからないだろうな、この気持ち。



「ねぇ、どこまで着いてくるの?」


「駅まで」


「なんで?」


「事故が起こるのは、学校から駅までの間の道でだから」


「へぇ」



聞いておいて素っ気ない返事をしてしまったと思う。


けれど、1つまた情報を得た。


神代くんの予知夢によると、私が交通事故で死ぬのは、学校から駅まで帰る道でのことらしい。


もちろん、信じてはいないけれど。




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