君にたくさんのありがとうを



高校1年生の秋までは平和だったんだ。


普通に友達が居て、眠たくてつまらない授業を受けて、たまには友達と寄り道をして帰る。


それなりに高校生活を楽しんでいた。


それが一変したのは秋のこと。


1年生の時のクラスにも人気者がいた。


一条(いちじょう) (みなと)くん。


今となっては、聞きたくない名前だ。


そして、かつての英里ちゃんの想い人。


一条くんは、サッカー部に入っていて、イケメンで人気があった。


告白だって毎日のようにされていて、付き合っては別れて……彼女が途切れることはないくらい。


そんな一条くんが、私は苦手だった。


いつも通り登校してきた朝、私の下駄箱にノートの端を破ったようなメモが入っていた。


なんだか他の人には見られたくなくて、すぐにブレザーのポケットにくしゃりとしてしまった。


カバンを置いてからトイレの個室に入ってから、やっとそのメモを開いて見た。




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