君にたくさんのありがとうを
そこには
“放課後、裏庭に来て欲しい。
一条 湊”
と一言だけ書かれていた。
驚いたのは呼び出しよりも、差出人の方だった。
よりによって苦手な人である一条くんの呼び出し。
嫌な予感しかしなかった。
罰ゲームか何かに決まってる。
一条くんのいるグループは賭け事が好きだった。
たまたま教室で小テストの点数で1番低かった人がドリンクを奢るとかそんな会話が聞こえてきたこともあった。
行ってもいいことなんてない。
無視しようとそのメモをまたくしゃりとして、ポケットにしまった。
真っ直ぐ帰ろうとしていた放課後。
たまたま一条くんと目が合った。
私と話したことなんて1度もないはずなのに、ニコリと笑ってこっちを見ていた。
気持ち悪い。
背中に寒気が走った。