君にたくさんのありがとうを
「嘘だ、信じられない」
「だからこそ、本当に起きたら信じられるでしょ?」
「……そ、そうかもしれないけど」
普段であれば絶対にありえないこと。
それがもし本当に明日起こったとしたら……
信じざるを得ないかもしれない。
いや……そんなわけないよね。
起きるわけが無い。
「それでも信じられないよ」
「それは詩織が実際に見て判断してくれたらいいよ」
……そうは言われても。
信じられるかは自信が無い。
本当に夢のような話だから。
「でもさ、ありがとうね」
「えっ?」
突然告げられたお礼の言葉。
一体どうしてなのか、意味がわからない。
「信じてくれなくても俺の話をバカにしないで聞いてくれてるから」
「バカにはしないよ、まだ信じられないだけで」
信じられないのに、神代くんは真っ直ぐに伝えてくるから、バカになんてできない。
本当のことなのかなって思ってしまうくらいだから。