君にたくさんのありがとうを
3:晴れのち雨のち相合傘
カーテンの隙間から朝日がこぼれる。
そんな眩しさで目を覚ました。
時計を見ると目覚ましをセットした時間の10分前を指していた。
なんだか損した気分。
いつもならあと10分も寝られたのに。
しっかりと目が覚めてしまって、少し早いけれど起きることにした。
「あら、詩織。今日はいつもより早いのね?」
「うん、ちょっと目が覚めちゃって」
優しいお母さんの私を呼ぶ声。
昨日の神代くんの声がフラッシュバックする。
あの少し低めでまわりを優しく包むような声。
思い出して、体がぼうっと熱くなった。
「もうすぐテストでしょう?調子はどう?」
「んー、まあまあかな」
お母さんと適当に会話を交わして、食卓テーブルにつく。
今日の朝ごはんは、食パンに目玉焼きにウインナー。
私の好きな朝ごはんだ。
目玉焼きを食パンの上に乗せて、トロッと流れ出す卵をすするようにして一緒に食べるのが好き。
当時は、アニメ映画でそんなシーンを見てお母さんに作って!とお願いしたこともあったっけ。