君にたくさんのありがとうを



「今日、俺の言う通りになったでしょ?」



神代くんがにっと笑って自慢げに言う。



「茂木くんのこと?」


「そうそう」



予言通りにいってなんだか嬉しそう。


本物だって証明したとおもっているんだろうか。



「俺の予知夢、信じてくれた?」


「えっと、それは……」


「まだ信じてくれないの?……まぁ、そうだよな」



一度驚いた顔をしたけれど、納得したかのような反応をした。



「本当に予知夢なんてあるとは思えないよなぁ」



神代くんの言う通り。


ありえないと思っていたことが本当に起こって、信じざるを得ないけれど、そもそも“予知夢”というものが現実に存在するってことが信じられないのだ。



「ねぇ、予知夢ってどんな時に見るの?」



少しだけ気になった。



「あぁー、前日に見ることもあれば日に関わらずいつ起こるかわからないものも見ることがあって……あ、知ってる?夢ってだいたい一度に3から5つくらい見るんだって」


「そんなに見てるんだ」



知らなかった。


起きてから思いだす夢はせいぜい1つか2つ。
場合によっては、見たことは覚えていても、内容を忘れていることもある。




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