君にたくさんのありがとうを
「俺もいろんな夢を見るんだけど、わかるんだ。どれがただの夢で、どれが予知夢なのか」
「へ、へぇ……」
やっぱり信じられない世界だ。
それって、夢の中で意思があるってことだよね。
私にはそんなことはできない。
「いつから見られるようになったの?」
「それは中学生くらいの時からかな」
「何かきっかけとかあったの?」
「……さぁ、どうだろな」
そう答えた神代くんは、どこか悲しげな表情を浮かべていた。
一瞬答えをためらった神代くん。
それがどういう意味なのか気になったけれど、それは聞けなかった。
「ありがとう、聞かせてくれて」
「うん、気になったことあったらなんでも言って?答えるから」
「うん、ありがとう」
そうこう話していると、いつもお別れをする駅に着いてしまった。
今日はなんか楽しい帰り道だった。
「じゃあ、また明日ね、詩織」
「うん、また明日」
そう行って私たちは正反対の電車へと乗り込んだ。