君にたくさんのありがとうを





ストレートの長い髪を揺らして歩く。


今日も眩しいくらい天気のいい朝だ。


雲ひとつない青空ってこのことを言うんだろうというほど、見上げた空は青かった。



「おはよ、詩織」


「あ、神代くん……おはよ」



昨日のように後ろから声をかけられ、神代くんが隣にやって来た。



「詩織、朝早いね」


「うん、最近朝早く行って勉強してるから」


「へぇ、偉い」


「神代くんは?」



いつも神代くんはわりと遅刻ギリギリに来ることが多いのに。



「今日日直でさ、日誌取りに行かなきゃだからいつもより早い電車に乗ったらこんな早く着いちゃった」



そうヘラヘラと笑う。


そっか、今日日直なんだ。


日直当番は、朝ホームルームが始まる前に職員室まで日誌を取りに行かなければいけない。


先生が朝持ってきてくれればいいのに……なんて都合のいいようにはならないだろう。




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